日焼け止めのおすすめ。オーガニック、ノンケミカルから飲む日焼け止めまで徹底解説
※2019.6.9 最新情報を踏まえて更新しました。
この記事では、日焼けの仕組み、SPFやPAという基準の仕組みをおさらいし、ノンケミカルと呼ばれる日焼け止めにもある危険性と安全性について考えます。
そして、ノンケミカル、オーガニックの日焼け止めの選び方、実際に買ったものをレビューします。
時間のない方はまとめから読むと良いかもしれません。
このページの目次
実は私は日焼け止めが苦手です。日焼け止めを塗っているとよく肌荒れするし、しっかりクレンジングするとそれはそれで乾燥するし、とにかく肌に負担なんですよね。
しかし、紫外線を浴びることも体には負担。深刻な場合、皮膚がんの原因にもなります。放射線と紫外線の境界はきわめてあいまいであり、世界保健機関(WHO)でも、紫外線の強さに応じた紫外線対策を行うことを推奨しています。
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日焼け止めの強さを示すSPF、PAと2つの紫外線
日焼け止めの強さを現す数値として、「SPF」と「PA」という数字が使われます。
SPFとは、Sun Protection Factorの略語です。 PAとはProtection Grade of UVAの略語です。
紫外線にはA波(UVA)とB波(UVB)があり、SPFはB波(UVB)に対する防護効果を、PAはA波(UVA)に対する防護効果を表します。 (C波(UVC)もありますが、日焼け止めで防げるものではなく、地表に届く量が少ないので、今回は割愛します。)
日焼け止めのSPFと紫外線B波(UVB)
紫外線B波(UVB)は、肌の表面に影響し、肌表面の赤みや腫れを引き起こします。日焼け止めのSPFは15、30、50といった数字で表されます。 これは、何も塗らなかった場合よりも、何倍の時間、紫外線B波(UVB)による日焼けや赤み・腫れ(日光皮膚炎)の発生を遅らせることができる、という基準になっています。
肌トラブルが起こるまでの時間は人それぞれ、日光の強さにもよりますが、だいたい20~25分と言われています。つまり、SPF10だと200分~250分で日焼けによる肌トラブルが始まる、といった計算になります。
これは、SPF10の日焼け止めをつけていれば、「200分~250分間はダメージがまったく起こらない」という意味ではありません。日光に当たっている間、肌ダメージが蓄積されると、やがて赤みや腫れが出るが、それが起こるまでの時間を通常の10倍に延長させられる防御力を示す」という考え方となります。
日焼け止めのPA、PPDと紫外線A波(UVA)
紫外線A波(UVA)は、肌の奥まで届き、真皮中の肌のハリ・弾力に関わる細胞にダメージをあたえ、たるみやシワの原因となります。つまり、肌を老けさせます。また、真皮に届き、メラニンを生成する細胞を刺激して、肌を黒くします。
日焼けサロンの日焼けマシンはUVB少なめ、UVA多めの光線を出すものがきれいに焼けますし、日に焼けたブロンズ肌志向の人が使う「サンオイル」はUVBを防ぎ、UVAは防がない日焼け止めです。
日焼け止めの「PA」は+~++++という4段階表示で表され、+が多いほど強い防護効果を持ちます。日焼けをしたくないだけでなく、肌ダメージを避けたい人はPA高めの日焼け止めを選んだほうが良いということになります。
また、紫外線A波(UVA)を防ぐ日焼け止めの指標として、PPDという基準値があります。PPDはPAで言うと下記のように読み替えられます。
- PPD 2以上、4未満 :PA+
- PPD 4以上、8未満 :PA++
- PPD 8以上、16未満 :PA+++
- PPD 16以上〜 : PA++++
このPPDは欧米ではメジャーになっており、SPF値に対してPPD値1/3以上の基準を満たす日焼け止めには「UVA」マークが付けられるようになっています。「この日焼け止めはBだけじゃなくA波にも気をつかってます!」という証ですね。
PPDおよびPDAマークは、皮膚ガンリスクのある人、アンチエイジングを心がける人は是非チェックしたい指標です。
ケミカル、ノンケミカルの日焼け止めの違いとは?
さて、肌を防護するための「日焼け止め」ですが、その成分がお肌に優しくないのでは、という疑問もあります。
日焼け止め=日光のダメージを防ぐ薬剤は、いったいどういうしくみで成り立っているのでしょうか。また、いわゆる「ケミカル」と「ノンケミカル」の境目はどこにあるのでしょうか。
ケミカルの日焼け止めは紫外線を吸収・ノンケミカルの日焼け止めは反射
日焼け止めの有効成分、日光のダメージを防ぐ薬剤としては、
- 紫外線吸収剤
- 紫外線散乱剤
の2種類があります。
- 紫外線吸収剤は紫外線のエネルギーを化学的に変換し、皮膚に浸透させない
- 紫外線散乱剤は紫外線を反射して跳ね返す
というしくみになっています。実は、「紫外線吸収剤」がケミカル、「紫外線散乱剤」がノンケミカル、と思っていただいてOKです。
紫外線吸収剤(ケミカル日焼け止め)とその危険
日本の日焼け止めでよく使われる紫外線吸収剤は
- t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
- トキシケイヒ酸エチルヘキシル
- オキシベンゾン–3
あたりが有名です。
どれもザ・化学薬品って感じの名前ですね。 これらの紫外線吸収剤は、色もなく、テクスチャーも伸びが良いので、白浮きのしにくい日焼け止めを作ることができます。最近、「紫外線吸収剤」の成分の一部で発がん性が指摘されているものがあります。 有名なのは「オキシベンゾン」です。
紫外線散乱剤(ノンケミカル日焼け止め)とその危険
それに対して、紫外線散乱剤は
- 酸化亜鉛
- 酸化チタン
がよく使用されます。 当ブログをよく読まれている方はお気づきかもしれませんが、これ、ミネラルファンデーションの記事にも登場する金属の粉、いわゆる顔料です。
そう、顔料なので、当然白浮きします。なんせ、「紫外線を反射する」成分なのです。ノンケミカル日焼け止めで白浮きするものが多いのは、そもそも仕方のないことなのです。
「紫外線散乱剤」だって危ない面があります。 酸化チタン・酸化亜鉛という成分の持つリスクについては、ミネラルファンデーションの記事で書きましたが、酸化チタン・酸化亜鉛の注意点については下記のように考えられます。
- 酸化チタンと酸化亜鉛は細胞を酸化させる活性酸素を発生させる成分
- ミネラル粒子がナノ化(ナノサイズまで細かくなっている)されているものは、肌の細部に入り込み、活性酸素を発生する力が強いとされている
- ミネラル粒子がコーティングされているものは、活性酸素を発生させる力が弱くなる。
- 吸い込んだときの発ガン性も懸念されているので、パウダーを使うのは避けたほうが良い
詳細については、下記をご覧ください。
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ミネラルファンデーションの危険性と、おすすめのミネラルファンデーション
ミネラルファンデーションの危険性、おすすめのミネラルファンデーション ミネラルファンデーションとは、粉末化した天然の鉱物を主成分として作られたファンデーションのことです。石油系の色素で作られている従来 ...
実は、日焼け止めに対しては、各化粧品メーカーが、「金属成分の分子を小さくし、ナノ単位にする=ナノ化して白浮きしにくくしたり、テクスチャーをよくしよう」と努力しているので、ファンデーション以上に注意が必要です。
理想のノンケミカル日焼け止めの条件
というわけで、理想のノンケミカル日焼け止めは
- 毒性の高い紫外線吸収剤を使っていない
- ナノ化された酸化チタン・酸化亜鉛を使っていない
- 酸化チタン・酸化亜鉛がコーティングされている
- それでもきちんと紫外線から肌を防護する効果がある
- 日焼け止め成分の基材もシリコンなどを含まないなるべく自然なものである
- 白浮きがひどすぎたり、伸びが悪かったりといったあまりに使いにくいものではない
- ミネラル粒子を吸い込むようなパウダーではない
となります。
新世代のノンケミカル?「酸化セリウム」について
最近いくつか製品が出ているのが、「酸化セリウム」です。これも酸化チタン同様、毒性がまだまだ研究中というところです。ナノ粒子化した酸化セリウムは肺がんの原因になるかも…といった研究結果も出ています。
そのため、酸化セリウムを使用した化粧品はおすすめしないことにしました。
理想のノンケミカル日焼け止めは「EWG」を参考に
アメリカには、「EWG」(Enviromental Working Group)という環境NGOがあり、かなりの数の化粧品の安全性評価を行っています。
ノンケミカル、オーガニックな安全性の高い日焼け止めは、「EWG」を参考にして選ぶのがおすすめです。
2019年のEWG高評価の日焼け止め
EWGで安全性が高いと評価を受けている(スコア1以上)もので、iHerb(アイハーブ)で入手可能な日焼け止めについては、下記の記事でご紹介しています。
-
【2019年版】iHerb(アイハーブ)で買える安全な日焼け止め【ノンケミカル・オーガニック】
iHerbで買える、安全な日焼け止め この記事では、iHerb(アイハーブ)で買える安全な日焼け止めをブランド別に解説します。 ただし、評価はブランド別ではなく商品別です。安全性の高い商品のみを取り上 ...
iHerb(アイハーブ) とは
参考iHerb(アイハーブ)初回オーダー方法の徹底解説
参考初心者でも簡単なiHerb(アイハーブ)で個人輸入、注文から商品が届くまで
参考iHerb(アイハーブ)で最も安く買い物する方法。最大3割以上お得に
EWGで高評価な日焼け止めを実際に買ってみた
EWGのSunscreenカテゴリにて、高評価(スコア1以上)だった日焼け止めのうち、iHerbや日本の国内通販で入手しやすいものをいくつか実際に購入してみました。
EWGで高評価なスティック型のノンケミカル日焼け止め
EWGでは、実はスティック型の日焼け止めが高評価です。乳化剤などの添加物があまり入っていないからでしょう。
- All Good Products, Sunstick, Zinc Sunscreen, SPF 30, Unscented iHerb(後継商品・SPF50+)
- クリアジンク日焼け止めクリーム、スポーツスティック、SPF30 Babo Botanicals iHerb(後継商品・無香料)
スティック型は硬めで塗りにくいです。広い範囲には塗りにくいと思われます。少し気温が高い場所の方が使いやすいので、アウトドア向けですね。鼻やほお、肩先など、焼けやすい場所の塗り直しには便利でしょう。iHerbでもあまり評価は高くない様子です。
EWGで高評価なチューブ型ノンケミカル日焼け止め
- All Good Products, キッズ・サンスクリーン, SPF 33
- Babo Botanicals, クリア・ジンク・サンスクリーン、SPF 30+ iHerb
- Badger Company Natural Mineral Sunscreen Cream SPF 30 無香料 iHerb
チューブの横に中身を少し取り出してみました。テクスチャーは手前のBaboが一番ゆるく、次にALL Good、BADGERと続きます。
BADGERは硬いというより、オイリーでこってりとしています。実は、乾燥が気になる冷房の下では丁度よく、私は下地として愛用していました。ただし、脂性の人は顔が油田になるのを覚悟しなければならないかも。Babo、ALL GOODは塗りやすいです。Baboは白浮きしにくかったです。これは、"クリアジンク"という白浮きしにくい成分を使っているおかげです。これら全てiHerbで購入すると大変お買い得。ボディ用に惜しげなく使えます。
Badgerは日本の総合通販でも入手可能です。
コスメ先進国日本のオーガニック・ノンケミカル日焼け止め
オーガニック成分配合、使いやすいオードヴィーヴの日焼け止め
私のお気に入りは、iHerbの製品ではなく、美白大国日本のブランドです。とろとろの美容液のようなテクスチャーに紫外線散乱剤が入っています。酸化チタンはシリカでコーティングされているそうです。頼りない気もするけれど、こんな使い心地の日焼け止めが自然派で実現しているのはすごいと思います。お高いので、フェイス用はこちら、ボディ用はiHerbのものと使い分けています。気になる方は、トライアルサイズから試してみてはいかがでしょうか。
ノンケミカルを超えた新世代自然派日焼け止め「アムリターラ ベリーズビューティサンスクリーン」
ベリー系の植物のエキスの力だけでSPf10、PA+を実現した日焼け止め。 アムリターラはやっぱりすごいです。冬場はこれで十分かも。
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ノンケミカル日焼け止め・日焼け対策番外編
Mad Hippie Vitamin C Serum(ビタミンC美容液)
注目の日焼け止め成分、お米由来の”フェルラ酸”を含むMad HippieのビタミンC美容液。
あくまで美容液であり本来日焼け止め、とはいえないのですが、フェルラ酸にはサンスクリーン作用があるため、日焼け止めとしても使える…ということで話題になっているようです。透明のとろっとしたローション状の美容液です。私は朝用美容液として使っています。
飲む日焼け止め
最近流行っているのが「飲む日焼け止め」というサプリメントたち。 これらのサプリを飲んでいれば塗る日焼け止めをつけなくていい、ということにはならないようですが、夏場に長時間屋外にいる…なんて日にはサプリメントの力を借りるのもいいのかもしれません。
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サングラス
サングラスをかけておくと、日光に当たった後、メラニン色素が生成されにくくなるそうです。 紫外線は眼球にもダメージを与えるので、日差しが強い日にはサングラスをかけましょう。 最近はクリアタイプのメガネでもUVカット効果の高いものが多くあります。
ビタミンDのために少しは日光にあたろう
体に必要なビタミンDを体内で生成するためには、紫外線、日光を適度に浴びる必要があることに注意しましょう。
まとめ
- 紫外線には主にUVA・UVBの3種類があり、UVBが日焼けに関連しているが、肌ダメージに関連するUVAも防ぐ日焼け止めを使うのがトレンド
- UVBを防ぐ効果はSPF(数字)、UVAを防ぐ効果はPA(+、++…)またはPPD(数字)で示される。UVAマークの付いている製品はUVA・UVBをバランスよく防いでくれる製品を示す
- 一般にケミカルの日焼け止めと呼ばれるものは、紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は白浮きしにくい日焼け止めを実現するが、発がん性、毒性が指摘されている成分もある
- ノンケミカルと呼ばれるのは主に紫外線散乱剤を使った日焼け止め。酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムが使われる。
- 酸化チタン、酸化亜鉛は、ミネラルファンデーションの材料でもある。ナノ粒子のものには、皮膚にのせた際、肺に吸い込んだ際の毒性が研究されている。詳しくはミネラルファンデーションのページで。
- ナノ粒子の酸化セリウムも同様に吸い込んだ際の毒性が研究されているため、当記事では取り上げなかった。
- EWGというアメリカの化粧品評価サイトで上位だった製品を使ってみた。(スティックタイプ・チューブタイプをそれぞれレビュー)
- 日本製だと、オードヴィーブのオーガニック日焼け止めがおすすめ。お高いので顔用に。
- さらにノンケミカルの日焼け止め成分を含まないアムリターラ、マッドヒッピーといったサンケア製品もある
- 飲む日焼け止め、サングラスなども活用しよう