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マヌカハニー

マヌカハニーの効果・効能の本当の話【実はまだ研究が必要】

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マヌカハニーの効果・効能の本当の話

The truth of Manuka

マヌカハニーは、ニュージーランド原産の「マヌカの木」から採れる蜂蜜です。現地では経験的に薬のように用いられてきた歴史があります。現在、ニュージーランドが先導に立って様々な研究が行われており、有効成分を多く含むハイグレードのマヌカハニーは普通の蜂蜜よりも、高濃度の抗菌・殺菌成分を含むことが判明しています。 しかし、マヌカハニーの効果・効能については、現在科学的にははっきりしていないことが多く、何の効果がある、とか医療に活かせる、と断言できる段階ではありません。どのくらい解明されつつあるのかひとつひとつ解説します。

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マヌカハニーと病原菌の除菌、ウイルスの増殖抑制

マヌカハニーは、有効成分「メチルグリオキサール」の殺菌力の強さから、様々な病原菌除菌や、ウイルスの増殖抑制効果を期待されています。(12) 現在研究が進められているのが、ヘリコバクターピロリ菌(3)、歯周病菌(4)(5) 、黄色ブドウ球菌(6)、クロストリジウム・ディフィシル(7)、 インフルエンザウイルス(8)などに対する効果です。抗生物質に耐性のある細菌(9)(10)に対する効果についても、研究が進められています。 ただし、どれもまだ、病気治療に使える段階ではありません。

マヌカハニーとヘリコバクター・ピロリ菌の除菌と胃潰瘍の治療・予防

今マヌカハニーが日本で注目を集めているのは、この「ヘリコバクター・ピロリ菌」への効果が研究されていることが大きな理由ではないでしょうか。

「ヘリコバクター・ピロリ菌」の感染と、胃、十二指腸の潰瘍やがんについては、科学研究により関連性があることが判明してきており、「ヘリコバクター・ピロリ菌の感染者は消化器がんにかかるリスクが上昇する」ことは、複数の研究を取りまとめた分析研究において結論づけられています。(11) また、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌により、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発を減らすことができた、という研究結果も出ています。(12)

そこで、マヌカハニーで、ヘリコバクター・ピロリ菌を除菌し、さらに炎症を鎮めることができないか、研究が進められています。 生検で取り出したヘリコバクター・ピロリ菌による胃潰瘍へのマヌカハニーの効果を調べた培養実験では、マヌカハニーによりヘリコバクター・ピロリ菌の増殖が抑えられるという結果が得られました。(3)

ただし、小規模の研究ですが、12人の被験者を対象にマヌカハニー(UMF11.7)及び普通の蜂蜜を毎日大さじ1摂ってもらう実験では、どちらの群でもピロリ菌は除菌できなかった、という結果も出ています。(13)

現時点では、培養実験でしか結果が出ておらず、マヌカハニーを食べることによって、ヘリコバクター・ピロリ菌を除菌できるとは言えません。

胃潰瘍はヘリコバクター・ピロリ以外には、アルコールの摂りすぎでも起こります。ラットを使った動物実験では、マヌカハニーを摂ったラットはアルコールによる胃潰瘍を防ぐことができたという結果がでています。(14)

マヌカハニーと咳、喉の炎症、風邪・インフルエンザ

民間療法で、古くから蜂蜜はせき止めとして用いられてきました。子供の咳に対して、蜂蜜は市販のせき止めの薬と同様に有効だったと言う臨床研究もあります(15)。

喉の痛みなどが症状として現れる「インフルエンザ」は年間世界中で何千万人もの人が亡くなる、厄介な感染症です。細胞実験ではマヌカハニーにインフルエンザウィルスの増殖を抑える効果があることが分かっています。(8)

残念ながら、マヌカハニーを食べるとインフルエンザ予防ができる、と言えるような段階ではないでしょう。

マヌカハニーとやけど・外傷・潰瘍

古代より、蜂蜜は外傷、やけど、皮膚の痛み、できものなどに利用されてきました。マヌカハニーを傷口に塗るのは、古くから民間療法として知られています。(16)(17)

このことから、マヌカハニーを外傷治療への応用ができないか、様々な研究が行われています。ランダム比較化研究も実行され、外傷治療における有効性があるかもしれず、さらに研究をするべきという結果も出ています。(18)

アメリカ食品医薬品局は、2007年にマヌカハニーの医療用製品を外傷治療への処方として承認しています。(US FDA WOUND DRESSING WITH MANUKA HONEY)

これらの研究にはマヌカハニーの医療用製品(湿布のような製品)が使われていることに注意してください。

Wound dressing with manuka honey 2

日本ではあまり一般的ではないですが、このまま研究が進めば、そうしたマヌカハニーの製品も日本でも入手しやすくなるかもしれません。 マヌカハニーの外傷への効果は、研究が最も進んでいる分野ではありますが、既存の治療法より優れていると言える段階ではありません。

マヌカハニーと虫歯・歯肉炎の予防・口腔ケア

寿命が延びている現在、なるべく長く自分の歯を健康に保つことの重要性が高まっています。歯周病や虫歯の原因となる悪玉菌を減らし、歯垢(プラーク)の形成を抑え、口内の善玉菌を減らさずに良いバランスを保つ必要があります。マヌカハニーは民間療法で口内炎に使われてきましたが、歯科の領域でも研究が進みつつあります。(19)。 培養実験では歯周病の原因菌の増殖を抑えるという結果が出ました。食後10分間マヌカハニーを使ったソフトキャンディを噛む人とシュガーフリーのガムを噛む人での比較実験では、マヌカハニーのキャンディを噛んだグループでは、歯垢(プラーク)が減り、歯肉からの出血も少なくなりました。(20)。これらの実験は小規模なものであり、今後の発展が期待されます。

マヌカハニーとニキビの治療

ニキビは通常ホルモンの変調が原因ですが、栄養不足やストレス、毛穴で原因菌が増殖することによっても起こります。マヌカハニーの抗菌作用は、ニキビ用の低PHのスキンケア製品との組み合わせにより効果を発揮するとされ、市場にも様々な製品が出ています。 マヌカハニーは、皮膚の病原菌を殺菌し、ニキビの治癒に貢献する可能性があります。また、マヌカハニーの抗炎症効果が、ニキビに関連する炎症を抑えるとも言われています。 しかし、マヌカハニーによるニキビ治療についての臨床研究はまだ行われていません。ただし、マヌカハニーと同様の効果を持つカヌカハニーについて、ニキビに対して抗菌石鹸と同じくらい効果があるという結果が出ている(21)ことから、マヌカハニーも同様の効果が期待できるかもしれませんが、はっきりとはしていません。

マヌカハニーとアトピーの治療

マヌカハニーの抗炎症、抗菌効果は、アトピーの治療にも役立つのではないかと考えられ、小規模の臨床実験も行われています。被験者(軽度のアトピー患者)には症状の改善が見られ、患部のサンプルからも改善を確認できました。さらに大規模な研究での確認が必要、と結論づけられています(23)。

マヌカハニーと過敏性大腸炎などによる腸の症状の緩和

便秘、下痢、下腹部の痛みなどに悩まされるIBS(過敏性大腸炎)にも、マヌカハニーの有効性が研究されています。 ラットによる実験ですが、人工的に炎症性の大腸炎にしたラットに定期的にマヌカハニーを与えたところ、炎症が治まったという結果が得られています。(24) 培養実験の段階では、深刻な下痢と消化器の炎症を引き起こすクロストリジウム・ディフィシルという細菌についても有効とされ、研究が進められています。(7) しかしどちらも人間の医療に活かせるレベルにはありません。

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Shanti

マヌカハニーについて、他にも記事を書いています。どうぞごゆっくりお楽しみください。

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マヌカハニーに関する参考図書・参考論文

ニュージーランドの神秘のハチミツ マヌカ・ストーリー 峯下 麻利 (著), 一般社団法人アジアJAPANマヌカ協会 (監修) アールズ出版

スーパーはちみつ マヌカハニー使いこなしBOOK 佐々木 薫 (監修)

  1. 論文:医療用マヌカハニー、もはや代替医療ではない ※英語:Therapeutic Manuka Honey: No Longer So Alternative
  2. 1の論文より、マヌカハニーと研究中の細菌・表
  3. 論文:マヌカハニーの抗菌作用とヘリコバクター・ピロリの感受性 ※英語: Susceptibility of Helicobacter pylori to the antibacterial activity of manuka honey.  ニュージーランド・ワイカト大学 ピーター・モラン博士 他
  4. 論文:試験管内の口腔内細菌に対するマヌカハニーの抗菌作用の可能性 ※英語: Antibacterial potential of Manuka honey against three oral bacteria in vitro
  5. 論文:はちみつーポルフィロモナス・ジンジバリスへの抗菌作用をもつの可能性のある物質についての試験管内研究 ※英語: Honey - a potential agent against Porphyromonas gingivalis: an in vitro study. )(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24666777)
  6. 論文:マヌカハニーとそれ以外のはちみつで外傷に感染する種の細菌への反応性の比較 ※英語: A comparison of the sensitivity of wound-infecting species of bacteria to the antibacterial activity of manuka honey and other honey. 
  7. 論文:マヌカハニーのクロストリジウム・デフィシルへの抗菌効果 ※英語: Antibacterial effect of Manuka honey on Clostridium difficile.
  8. 論文:試験管内実験におけるはちみつの抗インフルエンザウイルス効果: マヌカハニーの強力な高活性 ※英語: Anti-influenza viral effects of honey in vitro: potent high activity of manuka honey.長崎大学
  9. 論文:試験管内実験でマヌカハニーに曝露し病原性マーカーが抑制されたMRSAのプロテオミクス及びゲノム解析 ※英語: Proteomic and genomic analysis of methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) exposed to manuka honey in vitro demonstrated down-regulation of virulence markers
  10. 論文:MRSAの細胞サイクルへのマヌカハニーの影響 ※英語: The Effect of Manuka Honey on the Cell Cycle of MRSA
  11. 論文: Meta-analysis of the relationship between Helicobacter pylori seropositivity and gastric cancer.
  12. 論文: Effect of treatment of Helicobacter pylori infection on the long-term recurrence of gastric or duodenal ulcer. A randomized, controlled study.
  13. 論文:マヌカハニーに対抗するヘリコバクター・ピロリ ※英語:Manuka honey against Helicobacter pylori.
  14. 論文: マヌカハニーの消化器潰瘍ラットへの抗酸化、抗炎症、抗潰瘍作用の可能性 ※英語: Antioxidant, Anti-inflammatory, and Antiulcer Potential of Manuka Honey against Gastric Ulcer in Rats
  15. 論文:子供とその親のの咳と睡眠の質へのはちみつ、デキストロメトルファンおよびジフェンヒドラミンの効果の比較 ※英語: A comparison of the effect of honey, dextromethorphan, and diphenhydramine on nightly cough and sleep quality in children and their parents.
  16. 論文:皮膚科とスキンケアにおけるはちみつ:レビュー ※英語:Honey in dermatology and skin care: a review.
  17. 論文:組織再生に不可欠な成分としてのマヌカハニーの健康上の有益性 ※英語: Health Benefits of Manuka Honey as an Essential Constituent for Tissue Regeneration.
  18. 論文:標準化された抗菌はちみつ(Medihoney) と外傷ケアの標準治療:ランダム化臨床試験 ※英語: Standardized antibacterial honey (Medihoney) with standard therapy in wound care: randomized clinical trial.
  19. はちみつ!歯周病の自然派治療 ピーターモラン博士 ニュージーランド ワイカト大学、はちみつ研究ユニット ※英語: Honey! Natural Treatment for Gum Disease
  20. 論文:マヌカハニーのプラーク・歯肉炎への効果:パイロット研究 ピーターモラン博士 ※英語: The effects of manuka honey on plaque and gingivitis: a pilot study.
  21. 論文:カヌカハニーの局所利用によるニキビ治療のランダム化コントロール試験 ※英語: Randomised controlled trial of topical kanuka honey for the treatment of acne.
  22. 論文:はちみつはアトピー性皮膚炎治療への効果がある可能性あり:臨床・機械論的研究 ※英語: Honey is potentially effective in the treatment of atopic dermatitis: Clinical and mechanistic studies(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5418133/)
  23. 論文:異なる量のマヌカハニーの実験的にIBSにしたラットへの影響※英語: Effect of different doses of Manuka honey in experimentally induced inflammatory bowel disease in rats.
  • この記事を書いた人

Shanti

2004年頃、体調を崩したことをきっかけに、オーガニック製品やサプリメントについて調べはじめました。研究機関の職員として働いたのち、ブログライターとして独立。2014年からShanti(シャンティ)という名前で情報発信しています。海外を長期間旅行する機会が多く、旅先でヘルシーで快適に過ごすために食生活やスキンケアの工夫を重ねています。


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